M&Aコラム

2015/01/27

M&Aアドバイザー 大川潤 氏(㈱リンクアソシエイツ代表取締役)

今回は、独立系M&Aアドバイザーであるリンクアソシエイツの大川社長にお話を伺いました。大川社長はM&Aの業界では珍しく、通産省(現経産省)のキャリア官僚のご出身です。ご経験を生かして、政府の規制に関わるような案件も扱われています。弊社とは、昨年から今年にかけての1年以上の間、外資系企業による日本企業の買収プロジェクトでご一緒させて頂きました。

【大川潤 氏】 1950年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1974年通産省に入省、1987年シカゴ大学ビジネススクール卒業。(MBA) その後シェアソンリーマンブラザーズに入社しニューヨーク本店で日本企業のM&Aを担当。1990年、東京でM&Aコンサルティング会社のリンクアソシエイツを設立。 URL: http://www.link-associates.biz​

 

平山: 大川さんは通産官僚からM&Aのアドバイザーに転身されたわけで、まずはそのご経歴を伺いたいのですが、最初は天下国家を支えたいという大志を抱かれて官僚になられた訳ですか。

大川さんウェブ用.jpg大川: いや、そんな大それたことは考えてはいませんでしたよ。(笑)私の通産省での経歴ですが、通産省ではいろんな部署を1~2年で移動になります。入省後、まず、産業構造課という文字通り日本の産業の構造がどうあるべきか、ということを考える部署に配属になりまして、具体的には日本の産業が重厚長大型から省エネ型に切り替わるためのビジョンをつくるという作業をやっていました。ここが私のキャリアの出発地点です。その次は原料紡績課で、繊維産業の構造転換ということを考えていました。その後、資源エネルギー庁総務課で庁全体の予算や税制とかのとりまとめ行いました。当時は日本の石油備蓄が少ないことが問題になっていて、石油税を作ってその資金で備蓄を増やそうということになりましたが、その際に石油税創設の一端を担うことができました。次に工業技術院でいろんな技術の振興に携わり、それから移ったのが米州課で日米貿易摩擦に取り組みました。特に日米自動車交渉の取りまとめをお手伝いし、今でもよく覚えていますが政府が自主規制で日本の自動車の輸出を168万台と決めたときは会議の端の方にいました。懐かしい思い出としては、当時の福岡出身の田中六助大臣のカバン持ちでアメリカに行ったことです。大臣は当時すでに体調がすぐれず注射を打ちながらスケジュールをこなされる姿に鬼気迫るものがあり、政治家が命を懸けて仕事をするのを垣間見て、その凄みに圧倒されました。その後に大臣官房総務課というところで臨調対策をやり、中小企業庁の金融課で商工中金の改正問題を担当しました。その後に2年間アメリカのシカゴ大学のビジネススクールに留学してMBAを取得しましたが、思うところがあって通産省を退職しました。

平山: 確か、その後ニューヨークのシェアソンリーマンブラザーズ(その後リーマンブラザーズ)に入られましたよね。

大川: そうです。ニューヨークの本社でM&Aを担当しましたが、当時はバブルで、日本企業が盛んにアメリカに進出していて、日本企業のお客さんから、どうやればアメリカで企業買収ができるか、不動産が取得できるのか、というご相談を随分たくさん頂きました。私のお客さんはオーナー系の大手企業が多くて、化粧品、玩具、アパレルなどのオーナー系の企業さんと随分と懇意にさせて頂きました。私のM&Aに関しては、当時の知識、経験がベースとなりその後の活動ができたようなものです。

平山: それは非常にいい時期にニューヨークにいらっしゃいましたね。羨ましい限りです。

大川: ところが、そこでバブルが弾けちゃったんですよ。(笑)それで日本に帰ってリンクアソシエイツを設立して、今度は日本でのM&Aアドバイザリーの活動を始めました。その後それが20年続いている、というのが簡単な略歴です。

平山: ありがとうございます。私は大川さんが手掛けてらっしゃるM&Aは役所との関わりがある案件が多いように感じるのですが、いかがでしょう。

大川: そうですね。私がやっている仕事の柱の一つは純粋なM&Aアドバイザリーですが、もう一つの柱は日本に進出を希望する外資系企業のコンサルティングがあります。後者の場合、規制等のために参入に苦労している企業が主な対象で、そのような企業のアドバイザー又は代理人となって、市場をオープンにする、規制を外す、ということを役所と交渉します。いわゆるロビー活動ですね。

平山: 役所と交渉するというのは、なかなか一般人では出来ない芸当ですが、そこは元官僚として相手の手の内が分かっているということでしょうか。弊社が先日までご一緒させて頂きました、外資系企業に対して日本市場での買収をアドバイスするという案件は特殊で、対象先は役所の色が付いたところが多かったのですが、私が正面から行ってもあまり話を聞いてもらえないところでも、大川さんが話をするとスムーズに会話ができたところがいくつもありました。

大川: あれは、もともと面識があったところもありますから。確かに役所出身者の思考回路というのは一般の方には馴染みがないかもしれないので、そのあたりの知識や折衝の仕方は私がお客さんに付加価値としてご提供できるものだと思います。

平山: そう言えば、以前アメリカのガラスの会社のお仕事をやってらっしゃいましたよね。

大川: かなり前で、もう話しても時効だと思いますが、デトロイトの郊外にあるガーディアン・インダストリーズというガラスのメーカーが日本に進出したいということで、役所との折衝を含めたお手伝いをしました。日本では、進出後ゼロから始まって、国内市場の数パーセントを獲得するところまで努力しました。

平山: 確か、社長をやってらした時期もありましたよね。

大川: とりあえず適任がいなかったので日本法人の社長を引き受けて、5年ほど兼務していました。その後、オペレーションに強い人が採用できたので、またアドバイザーの立場に戻りました。

平山: カジノはいかがですか。

大川: 本年で13年目になりますが、アメリカのラスベガスに本拠を置く大手カジノ会社の日本でのアドバイザーを務めています。現在国会で審議されようとしているIR法案(カジノ法案)の進捗をレポートしたり、日本でのパートナー探し等のコンサルティングを行っています。また、その前にもアメリカ最大のスロットマシーンの製造メーカーのコンサルティングを10年ぐらい行っていたのですが、そこの契約が切れるときに、このスロットマシーンのメーカーからその大手カジノ会社をご紹介頂いたという、この仕事を行っている者としては非常に幸福なケースでした。

平山: カジノの進捗はいかがですか。特に九州では。

大川: 幸運にも九州では候補が3つぐらいあって、実は私も随分と長いお付き合いをしている九州の方々もいるんですよ。

平山: その他にもM&Aもいろいろやってらっしゃいますよね。

大川: M&Aはいろんなお客さんがいて、大手の企業から小さなオーナー企業もありで、案件ごとにまちまちです。私も一人でやっているので、M&Aの案件が進むと、その度に弁護士や会計士、その他のM&Aアドバイザーとチームを組んで取り組むようにしています。そのようなチームを組んでくれる人たちは自分にとっての財産です。とにかく、M&Aは私の本業なので、今後もしっかりやっていきたいと思っています。

平山: 私も大川さんとは今後も親しくさせて頂いて、ぜひ福岡等、西日本のディールにもご一緒させて頂きたいと思っています。

大川: 福岡は日本の中でも最も元気な都市の一つです。ところで、韓国や他のアジアとも近いので、今後非常に有望な地域として注目しています。知事の小川さんは通産省の1期先輩で、非常に優秀な方ですからいろんなアイデアも出てくるでしょう。今後は福岡と東京や大阪を結ぶM&Aのディールも増えてくると思いますし、もしかしたらカジノも出来るかもしれない。私も平山さんとは今後も一層親しくさせて頂き、ぜひ西日本でのM&Aのディールにつなげたいと思っています。

平山: こちらこそ、今後ともよろしくお願い致します。

(2014年12月)

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